手しごと日記:天然素材を選ぶ

先日、約1年振りに日暮里へ生地の仕入れに行ってきました。小田原から新宿までロマンスカーに乗車して、往復4時間かけて目的のお店に着いたら、なんと定休日でした。日暮里の生地屋さんは、日曜定休が多いので、まさか月曜日も定休だったとは。。。せっかくここまで来たので、気持ちを切り替えて、2軒目のお店で生地を仕入れてきました。

生地問屋

日暮里では訪れるお店は決まっていて、ミシン糸などを扱うお店と素敵なリネンを扱うお店、そして染め生地を専門に扱っているお店です。日暮里にいる時間は、せいぜい2〜3時間程度。食事もお茶もせず、さっと行って、さっと帰ってくる。休憩するのは、ロマンスカーの中で贅沢に!が私の仕入れスタイル。コロナ禍ということもあってか久しぶりの東京は人が少なく、仕入れもスムーズにできました。

いつもどんな生地を仕入れているかというと、天然素材のリネンやコットンの生地です。まず、モダンキルト制作に使う生地をメインに探します。モダンキルトでは、布と布を細かくパッチワークするので、生地の素材と厚さが重要になります。私の通うお店には、洗い後の生地サンプルも見ることができるので、本当に助かっています。洗った後は、特にリネンだと風合いががらっと変わるので驚きます。何度も指で厚さを確かめて、これを染めて、キルトを作ることをイメージしながら生地を選びます。

染色用生地

日暮里は卸のお店なので、10m以上買うと割引があります。生地は想像以上にずっしり重たいのですが、気軽に仕入れに来れる状況ではないので、今回も20m以上買いました。お店の方に「お車ですか?」なんて聞かれるほどの量で「いえ、電車で小田原まで帰ります。」と伝えると、驚かれて心配されるほどの量です。腕がちぎれそうになりますが、新宿まで行けばロマンスカーが待っている!と思って気持ちを奮い立たせて持ち帰ります。

生地仕入れ

これまでに、何度も日暮里や都内の生地屋さんを訪れて、生地を買っては染め、買っては染め、を繰り返してきました。それを使って、実際にミシンで縫い合わせ、キルト作品を仕上げ、やっとこれでいこう!と思える生地に出会うことができます。でも、世の中は変わる、コロコロ変わる。同じ生地をまた仕入れようとしても、廃盤になってしまうこともよくあることです。

生地仕入れ

生地を仕入れたら、まず染色用の鍋に入る大きさに布をカットします。そして、生地の汚れをしっかり取るために、染め専用の酵素剤で洗ったり、生地の風合いを損ねないように煮たりして、下準備をします。そして、たんぱく処理してからやっと染めの作業に入ります。この白い生地が植物の力でいろいろな色に染まっていきます。手間はかかりますが、自然の色を染めるのはとても楽しい時間です。

コットンキルト綿

リネンやコットン、ウール、シルクなどの天然素材を選ぶ理由は、草木染めと相性が良いのと、長く使うほど風合いが良くなるところです。モダンキルトの中綿に入れるキルト綿も贅沢にコットン100%を使っています。天然素材のコットンキルト綿はとても柔らかく、保温性や吸水性もあるので、ベッドカバーなどとして使うとその良さが分かります。気持ち良さや使い心地も大切だと考えているので、これからも天然素材の生地やキルト綿を使い続けたいと思います。ちなみに新作の湯たんぽカバーにもこのコットンのキルト綿を入れています。朝までずっとお湯が温かいのは、天然素材の生地とキルト綿の力です。湯たんぽカバーが薄いと、明け方にはお湯が冷たくなってしまうので、優しい温もりと上質な眠りを求めている方には、おすすめの湯たんぽです。